2014年12月10日水曜日

【開催レポート】ITサービス創出のためのAPI/ソリューション活用ワークショップ

ITサービスを開発するために利用できる既存のAPIやソリューションの活用方法を考えるセミナーとアイデアワークを行いました。
今回は、株式会社デンソーをゲストに招き、同社から開発企業やエンジニア向けに提供しているAPI等を素材として、青森の地域課題・地域資源をテーマに、活用方法を考えます。

▼日時:2014年12月9日(火)11:00~17:00
▼会場:ねぶたの家ワ・ラッセ 交流学習室2(青森市安方一丁目1-1)
▼主催:青森県
▼企画運営:株式会社サン・コンピュータ
※本セミナーは、青森県「ITビジネスアイデア開発支援事業」により開催致します。

▼プログラム
11:00 第一部・API/ソリューション解説セミナー
12:00 休憩
13:00 第二部・マッチングアイデアワーク
16:00 交流会・名刺交換


【第1部 インプットワーク】

講師:寺尾 由紀江氏(株式会社デンソー 情報通信基盤開発部 サービス開発室 開発1課 担当係長)
    鵜飼 拡基氏(株式会社デンソー 情報通信基盤開発部 サービス開発室 開発2課)

左:寺尾氏           右:鵜飼氏


デンソーさんから今回持ってきていただいたAPIについて解説していただきました。

○NaviCon URL発行API 
http://navicon.denso.co.jp/user/support/
NaviConとは、スマホとカーナビをBluetooth経由で繋ぐ事ができる仲介ツールです。
スマホで簡単に場所検索が出来たり、カーナビを遠隔操作出来たりします。
地図上の地点をカーナビの目的地として設定でき、連携アプリを使う事も可能。
カーナビと連携させなくても現在地の共有を友人同士ですることもできます。
今回は、NaviConを呼び出すためのURLを発行するAPIを提供してくださいます。

≪参加者からの質問≫
Q:NaviCon対応のカーナビはどれくらいあるのか?
A:ほぼどのメーカーでも対応ナビが出ているそうです。
 対応ナビについては、HPの方で確認できますが、今出てるカーナビは大体対応しています。
 しかし、NaviCon自体が3年前に出したものなので、3年前のカーナビやBluetooth機能がついていない物だと対応していないだろうとの事でした。
 NaviConは業界標準になりつつあります。

○MapQR
https://developer.navicon.com/login#contents_02
略地図とQRコードを組み合わせ、人も機械も読めるようになっている位置情報の2次元コードです。
QRコードは汎用的なバーコードリーダーで読み込み可能です。
NaviCon経由でカーナビに場所を送ることもできます。
トレーサビリティという利用状況を確認できる機能も今後つける予定だそうです。
提供してくださるAPIは、指定した場所の情報を持った地図付きQRコードを発行できるAPIでした。

○KKPーくるくるピッー
https://developer.navicon.com/login#contents_03
スマホのリモコン代わりになるものです。
運転中にスマホをカーナビ代わりに使う際など、スマホを手に持って操作できないシチュエーション下においてもスマホ利用をアシストしてくれます。
カーナビ以外にも、スマホの画面をテレビに映して遠隔で操作することも可能です。
KKPのAPIを使うと作成したアプリをKKPで操作することができます。

上記3点はWebでAPIを利用できます。
①アカウント登録
②アプリを登録した後IDを取得
③開発をサポートするライブラリを活用する
上記の手順をたどると、利用可能になります。
https://developer.navicon.com/login

○MIKAWAP(ドラレコアプリ)
http://www.mcpc-jp.org/csproject/pdf/14_mcpc_p16_denso.pdf
スマートフォンプローブを活用したヒヤリハットマップの作成ができます。
アプリを起動すると、クラウドサーバーに走行履歴や悪路検知の情報が発信されます。
ユーザーから発信された情報はWEBでほかのユーザーが閲覧できるというシステムです。
スマホアプリによる安全運転支援や、WEBによるヒヤリハット地点と走行ログの見える化が可能です。
スマホを利用するために発生する誤差を克服し、使用環境(端末特性、設置環境)に依存しないシステムを実現。
全ての端末で使用可能なアプリになっております。
現在はデンソー社員の方々が使ってマップを作成しているそうです。
サーバにて蓄積・生成される情報はAPIによる利用が可能です。

≪参加者からの質問≫
Q:走行中はずっとアプリが立ち上がっている状態なのか?
A:立ち上がっている状態になっています。

Q:パケットはどれくらい使うのか?
A:月で200位、使用者が負担します。
あまり負担をかけないように、長い動画を送りすぎないようにしたり、画質をおとして送っている工夫をしています。

Q:カメラで路面状況を取るという事だったら、道路の状況をセンサーとカメラで撮るのでは差が出るのか?
A:動画で取っているので段差がある地点の10秒前くらいから悪路の状態が分かります。
画像認識は今はしていません。
ビッグデータとして集まってくればデータを根拠とした分析ができるでしょう。
ノイズはできる限り取り除いているが、細かなディファレンスをどうするかということは課題です。

○SmartDrive
車両のトータルマネージメントを行うテレマティクスサービスです。
車載機では
・急制動時や長時間運転の注意喚起(音声)
・長時間アイドリングの注意喚起
・オイル交換時期の案内
・DTC、MILを利用した整備工場への誘導案内
ができます。

WEBでは
・運転評価
・緊急時のメール連絡
・日報、月報の自動生成
・運転軌跡表示
・燃費表示
ができます。

ユーザーの記録がWeb上にどんどん上がっていくので、車両管理がスムーズにできます。
MIKAWAP同様、サーバにて蓄積・生成される情報はAPIによる利用が可能です。

また、今回は紹介だけでしたが、下記のシステムもあります。
○き~★もび
カーシェアリングシステム。
カーシェアの事前予約ができます。

○ライフビジョン
http://www.lifevision.net/
タブレットを使用したサービスです。
電子化された回覧板というイメージが強いものです。
APIの公開はしていませんが、地域のインフラとして導入したら地域活性化につながるのではないかと考えているそうです。


【第2部 アイデアワーク】
テーマは地域資源のインタビューで出た課題です。
プロスポーツチームの「ファンとのつながりを深めたい」というものや、町の活性化、後継者不足など10個の課題が挙げられました。

その中から、実際にデンソーのAPIと繋げられそうなものを選んでアイデアを出していきます。

①マンダラート
最初のキーワードは「移動を楽しむ」。
時間制限の中で書いていきます。
同じワードが上がっていても、広げてみると違うワードが出てくるなど皆さんの個性がよく出ていました。

②10個の課題で人の移動が発生する場面を考えるワーク
・人の移動が発生する場面
・何が起こりそう?
・何に心が動く?
の三項目を考えていきます。
なかなか難しいワークだったようで、時間ぎりぎりまで悩んでいる参加者も見られました。

③シーズ&ニーズ マッチングマトリクス(強制連想)
デンソーさんから紹介されたAPIの中で、関心のある機能を縦軸に書いていきます。(シーズ)
同時に、②のワークで出したアイデアを横軸に書きます。(ニーズの状況)
APIとアイデアを掛け合わせたとき、どのようなアプリやサービスができるかを考え、書きました。

その後、2人1組になって5分間発表しあいました。
どんどんペアを変えていき、たくさんのアイデアを吸収しあいます。

④アイデアスケッチ
③で出たアイデアを10分間で具体的にまとめます。
多い人は3枚のアイデアスケッチを書いていました!
書き終わった後、他の人のアイデアスケッチを見て回りました。
見た中で「このアイデアイイね!」と思ったものには星を書きます。

⑤発表
アイデアスケッチで星10個以上だった三名の方のアイデアを発表していただきました。

♦体の不自由な方々でもストレスフリーに旅行できる旅行ガイドアプリ
 ・バリアフリー宿泊施設の検索機能。バリアフリー対応観光地の案内。
 ・旅の途中の情報や、その付近の観光情報を伝える。
 ・体が不自由な方が運転者となる場合、その日の体調管理・ドライブアシスト・ヒヤリハット注意喚起を行う。

♦遭難を防止するアプリ(名前:遭難を防止するそうなんです)
 ・入山記録の代わりに「入山場所」と「入山時間」を記録するアプリ。
 ・入山記録は誰も書かないと遭難時に捜索範囲が広くなってしまう。
 ・捜索範囲を狭めることにより、見つかりやすくなる。そうなると遭難が減り、環境教育の下地ができる。

♦思いやりNavi
 ・車いす専用トイレがあるのか、人工肛門の人でも使えるトイレなのかが事前に分かる。
 ・個室内におむつや尿取りパッドなどが自販機販売されているかもわかる。
 ・言葉が不自由な方でも目的地を伝えて、こっそり運転手のテクニックや対応を点数評価できるので、次の人が運転手の情報を乗る前に知ることができる。
 ・危ない運転をしているタクシーや施設車両を外部評価できるようにして、危険運転をなくし、運転手の見られている意識を作り出す。

その後、12月13日(土)に弘前市で開催する「地域資源×IT アイデアワークショップin弘前」や1月16日から青森市で開催する「地域資源×IT マッチングワークショップ」の案内を行い、終了となりました。

【デンソーさんの感想】
寺尾氏
サービスでやれることが限定的だったので心配していましたが、柔軟な発想でいろいろ考えてくれてこちらもいろいろアイデアをもらいました。

鵜飼氏
非常に感銘を受けるところもあったので、これからも社会貢献できる物を作っていきたいです。

参加者の皆様、デンソー様、本当にありがとうございました!

今回のセミナーで出されたアイデアは来年1月に開催する試作品開発イベント「地域資源×IT マッチングワークショップ」の題材の参考とさせていただきます。

0 件のコメント:

コメントを投稿